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スペーサー(spacer)はアイザック・アシモフのSF小説『鋼鉄都市』などのロボットシリーズ及びファウンデーションシリーズに登場する、宇宙に移民した人類の子孫を指す。「宇宙人」「宇宙族」と訳されている場合もある。 == 概要 == 超光速航法(ハイパースペース・トラベル)の実現によって、限られた人々が太陽系外惑星に移住し、ロボットの助けを借りて新世界を建設した。やがて彼らは自分達の生活水準を維持するために、厳格な人口調節を行うと共に地球からの移民を禁止した。数千年後には、彼らの子孫であるスペーサーの居住惑星は50個を数え、「スペーサー・ワールド」と呼ばれる様になっていた。 地球からの植民に際して疫病性微生物やその宿主・媒介者となる生物を除去する事で、あらゆる伝染性の疫病を駆逐したが、その代償として免疫抵抗力をほとんど失っている。また遺伝子改良によって寿命は300年以上に延ばされている。加えて、老化した組織や器官などを補修する外科技術も進歩している。 そうした数千年に渡る遺伝子改良と地球と異なる環境の影響により、既に遺伝的にも地球人とは別の生物種となっており、地球人とスペーサーとの間の生殖も不可能であるとされている(ただし、ソラリア出身のグレディアがオーロラ人のグレミオニスとの間に子孫をもうけている事から、スペーサーの間では遺伝的同一性は保たれている様である)。そのためスペーサーの多くは、先祖である地球人の事を「短命で病原菌の巣窟である野蛮な人類の亜種」として同じ人間とはみなしておらず、当時の地球に対するスペーサー・ワールド諸政府の抑圧はこの事に起因している。 同時にスペーサーは、高度な人間/ロボット共存社会を形成している(『鋼鉄都市』では双方の主要構成元素に因んでC/Feと呼ばれている。『はだかの太陽』では、そもそもスペーサーの祖先が宇宙移民を行ったのが、根深いフランケンシュタイン・コンプレックスを持つ地球社会から逃れて、理想のロボット共存社会を建設することが目的であったことが語られている)。いずれのスペーサー・ワールドでも多数のロボットが使役されており、家事や身辺の世話、生産活動などに従事している。住居はロボット達によって警備されており、個人にも常に一体以上のロボットがエスコートに付いているため、事実上暴力犯罪といったものは不可能であり、警察あるいはそれに相当する組織は存在しない(言うまでもなくこれらのロボットは全てロボット工学三原則に従っており、仮に犯罪や自殺を企てたとしても普通は自分のロボットに止められてしまう)。当然スペーサーは誰もがロボットの扱いに長けており、経験的に地球のロボット工学者並みの知識を有している。なお『はだかの太陽』にてソラリアの社会学者クェモットは、ソラリアのロボット社会をスパルタに喩えており、しかし三原則のおかげで反乱に備える必要もなく、全員がピラミッド社会の頂点のみに座して繁栄を謳歌できると語っている。ロボットへの絶対的信頼によって成立しているこの社会において、三原則は単なる工学上の原則に留まらず、社会基盤の根幹を成す絶対原則とも言える物になっている。 ロボット工学に留まらず、他の科学分野でも当時の地球をはるかに凌駕している(これは前述の長寿命により、一人の研究者が長期にわたって研究に携われる事が大きいと考えられる)。軍事力においても同様であり、地球人は事実上地球に封じ込められていた。 長命とロボットによる繁栄を謳歌したスペーサーだったが、安定はやがて衰退へと繋がり、イライジャ・ベイリの指導により始まった地球人の銀河系再植民(セツラー)が台頭すると共に弱体化し、銀河系の歴史の陰に消えていった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スペーサー (アシモフ)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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